紀州備長炭には、昔からの先人の知恵や工夫の結晶がたくさん詰まっております。例えば、窯出しの際、すぐにかき出さずに炭の炎の色が白に近い金色に輝く炭から窯口へかいていきます。そこで、5分ほど置き表面に残った皮を焼き切ります。そして、やっと外に出す。現代へ継承されておりますが、最初からこの工程にたどり着くまでにどれ程の失敗があったのか想像がつきません。
窯入れは、今は窯出し後、一晩明けた次の日の朝から行います(窯出し後、2.3時間後に行う投げ込みという方法もある)。理由は窯出しの余熱で原木の水分がゆっくりと抜けるからです。これは紀州備長炭の製法では一般的な方法です。私は何度か数日空けて窯入れをしたことがありますが、その際の炭の質はあまりいいものでは無かったと記憶します。やはり、先人の経験や知識は偉大だと言わざるを言えないですね。
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