紀州備長炭の窯出し前は、窯出し口を24時間かけて少しずつ空けていく作業です。
これはゆっくり窯の中に空気を入れていく感覚ですね。この作業で炭の良し悪しが決まる作業なので、自分は一番気を使います。
この作業の前に次の窯入れの原木を用意しておかなくてはいけません。
窯出しの余熱を使って暖かいうちに原木を窯に入れていく紀州備長炭を作る上で大事だと思います。焚いて原木の水分を抜くのと余熱も使ってじわじわと水分を抜くのでは炭のしまりや重さに違いがかなりでて燃焼時間と燃焼温度が変わって行きます。
先人の知恵というものはかなり偉大ですね。
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紀州備長炭は、焚口で焚いて焚いて蒸して蒸して原木に着火し、炭化が始まり炭化が終わる頃に煙の色が白から青に煙の臭いもガスの匂い変わり24時間かけて少しずつ窯出しの口を空けていきます。この一連の作業一つでもかけていると良い炭は生まれません。
製造時に高温で焼成されていることから炭素以外の木質由来の油やガス等の可燃成分の含有量は少なく、かつ長時間燃焼する。また炎や燻煙も出難く調理に向いているとされる。 煙が少ない為、雑味が付きにくく、炭火焼を売り物にする料理屋(鰻屋、焼き鳥屋)などの燃料として使用される。樫による白炭を備長炭と呼ぶが、製法等が広く伝わって同様の製法を行う白炭に用いられる事もある。 燃料以外に、さまざまな用途に利用されている。備長炭は無数の小さな空洞(細孔)に様々な物質を取り込む(吸着)ことができる。備長炭1g当たり200~300㎡(テニスコート1面強)の表面積があると言われている。
白炭(はくたん、しろずみ、英: Hard charcoal)とは、木材を炭化させた木炭のなかから、高温で焼成し、窯の外へ掻き出して素灰を掛けて急冷させ消火して作るものを指す[1]。主に備長炭などが知られる。主成分有は、ほぼ炭素であり、ごく少量アルカリ塩を含んでいる。白炭は硬質で、黒炭より火付けが難しく[1]、黒炭や薪に着火させた後、それを火種として白炭に着火させるのが一般的であり、多くがこの二段階の着火手法を取る。白炭は急加熱させると爆跳が発生しやすく、炭の素材自体も硬質なため注意を要する。
白炭は生成過程での高温処理の為に黒炭より炭素率が高い傾向にあり、その分、低温処理された黒炭よりは余分な燃焼ガスの放出も少ないことから炎や燻煙で食材に焦げ目や雑味が付くことも少なく、焼きもの調理に適していると言われていた。 しかし、近年に於いては1000度に達する高温で処理された黒炭も存在し、一概に白炭の炭素率だけが高いとは言い切れない様になりつつある。
白炭は黒炭よりも水分やにおいの吸収率が大きく一月も置いておくと比重が変わってしまう。 そのため、保存状態が悪いと爆跳や煙が発生しやすくなり、危険かつ食材がおいしく焼けないなどの難点がある。白炭はなるべくなら製造所から直接購入し、短期間で使い切るのが好ましい。保管する場合は厚手のビニール袋に密封し、場合によっては乾燥剤を添えるのが適切である。
白炭は黒炭の製炭方法とは違い製炭工程の最後で釜に大量の空気を送り、まだ燃えている炭材を釜の外に引き出して高温精錬されるため、低温精錬された黒炭に比較して炭化度が高く不純物が少なく煙は発生しにくいが、急激に熱を加えると爆跳を起こしやすい。
紀州備長炭は、ウバメガシを原料に作られる固くて良質な白炭(はくたん又はしろずみ)で、料理の加熱・焼き物には最適の材料です。 和歌山県は日本有数の白炭の生産量を誇っており、年間約1,200トンを生産しています。 紀州備長炭の品質の高さは、世界中で焼かれている木炭の中でも秀逸で、原料となるウバメガシの存在をはじめ、窯の構造・製炭方法も品質の高さに関係しています。 1974年(昭和49年)、紀州備長炭の製炭技術は、和歌山県の無形民俗文化財に指定されています。現在、1970年(昭和45年)に結成された「紀州備長炭技術保存会」によって保持されており、技術の継承にあたっています。
窯口で雑木を燃やし、窯の中の原木を乾燥させます。原木に着火したかどうかを煙の臭いと色で判断するという、経験と勘が必要な作業です。窯の中の原木に着火したら窯口をふさぎ、原木を蒸し焼きにしていきます。煙の臭いと色で窯の中の状況を判断しながら、窯口に小さな穴を開けたり排煙口の大きさを調節したりして、炭化を常に最高の状態に保ちます。炭を焼くというのは正確な表現ではありません。ひとたび炭化を始めた原木は、自ら発する熱によって、順次下方へと熱分解を伝えていきます。炭に変化するのです。この時も煙の色と匂いと勢いで空気穴を調節し、炭化を最高の状態に保ちます。木酢液はこの段階で採取します。
備長炭----固定炭素95%以上、精錬度0~2度の木炭(備長炭は白炭に分類されます)というように決まっています。
紀州備長炭のウバメガシの株を伐採する時は、伐る順番を間違えるとかかり木になり手間がかかります。最悪のっかかれた原木はしなって折れたり、自分に向かってきたりしますので間違わないよう注意が要ります。そして、伐採する太さは基本的に一升瓶の太さを目安にしております。
写真の株は伐採後ですが、細いのは残して成長を促しています。択伐に近いですね。
細い原木を残せば鹿にも虫にもやられずに成長も早く40年サイクルが半分で済む場合があります。
限りある資源で次世代に残す方法としては、一番良いと思います。
紀州備長炭の銘柄には馬目・樫とあります。
樫とは、馬目が格落ちしたものウバメガシ以外の木を使ったものを樫と言います。箱のサイズも一般には15kg1号というものを使います。15kg1号に入らない収まらない物を2号.3号に入れてるものも銘柄は樫といいます。炭の肌も割れが多かったらり鱗のようになっているものは大体が軽い炭になっています。軽い炭は火付けが良いが燃焼時間や火力はかなり劣っていると思っていいでしょう。家庭用などいいかもしれませんがお店には不向きです。
割・半丸の原木の写真は、割り機を使ったものとチェーンソーで割ったものです。
炭になったことを考えるとチェーンソーで割る方がきれいです。
木ごしらえまたは、原木をノスと言っています。ノスは、方言で真っすぐさせるという意味です。
木ごしらえと聞いたら大工さんの隅木・桁・桁・柱・はり・垂木などの鉋削りを思う方も多いでしょうが、紀州備長炭の木ごしらえとは、原木(ウバメガシ)の節を取り・曲がったところを切れ込みを入れてクサビ(カマシ)を入れて真っすぐにしたり、太い原木は、半分・四つ割りにし、同じ長さのものを3本を1組にし縛っていきます。これが木ごしらえと言います。
木ごしらえの大事なことは炭になった時の事を考えて木ごしらえ作業をしていきます。原木の節が炭になると爆超の可能性があります。残さずきれいに除き、また、太い原木は半分・四つ割りにしますが割り機だとどうしても肌がザラザラになりますので全部チェーンソーで割っております。
その後、窯入れまで原木ウバメガシは生ものなのでこまめに水をかけています。
いい炭を作るには木ごしらえからだと思い日々の作業を進めています。
紀伊国田辺の商人備中屋長左衛門(びっちゅうや ちょうざえもん)が、ウバメガシを材料に作り販売を始めたことから、その名をとって「備長炭」の名がついた。狭義にはウバメガシの炭のみを備長炭と呼ぶが、広義において樫全般、青樫などを使用した炭を指す場合もある。
紀伊半島南部では、内陸部の崖地にウバメガシの優占する森林があり、やや特殊な昆虫相を維持している。代表的なものとしてはウラナミアカシジミの固有亜種ナンキウラナミアカシジミがある。この、内陸部にあるウバメガシ林は、紀伊半島に独特の例外的存在であるかのように言われることがあるが、実際には、西日本各地に内陸のウバメガシ林が点在し、それぞれの地域で「ここは例外である」と言われている。和歌山県大塔山系法師山の山頂にはウバメガシの低木があり、多分最高標高の生育地である。 また、紀伊半島南部では、あちこちの低山の斜面に、備長炭の用材としてウバメガシが優占するように育成された森林があったが、最近の需要の増加のため、減少が目立つ。かつては細心の注意で維持されたものであった。山にある立ち木の状態で炭焼き師の手に売られた後は、伐採後の樹木の生長に気配りしつつ伐採された。たとえば伐採の後、ひこばえの成長に配慮して、鋸は絶対に使わず、斧のみを使って伐採したとの伝承がある。鋸を使うとひこばえが多数出過ぎて、後の成長が良くないと言われる。切り口を斜めにすることで雨露が溜まらないようにしたり、不要な芽を掻き取ることで質の良い後継木を育てる工夫もなされている。
現在は、チェーンソーを使い昔よりも多く伐採できるようになりました。
ウバメガシは強い生命力を持っているので切り株からたくさん新芽がでます。30年から40年サイクルでまた紀州備長炭に成る程の成長をしますが、今は鹿が新芽を食べたり、周りの雑木を切らなかったりして日光不足に陥り根が枯れてしまったりしています。次の世代の為に、伐る際は地面スレスレに伐り株のうえにやぶを乗せて鹿から守ったり周りの雑木を伐ったりして成長を促しております。
紀州備長炭には、昔からの先人の知恵や工夫の結晶がたくさん詰まっております。例えば、窯出しの際、すぐにかき出さずに炭の炎の色が白に近い金色に輝く炭から窯口へかいていきます。そこで、5分ほど置き表面に残った皮を焼き切ります。そして、やっと外に出す。現代へ継承されておりますが、最初からこの工程にたどり着くまでにどれ程の失敗があったのか想像がつきません。
窯入れは、今は窯出し後、一晩明けた次の日の朝から行います(窯出し後、2.3時間後に行う投げ込みという方法もある)。理由は窯出しの余熱で原木の水分がゆっくりと抜けるからです。これは紀州備長炭の製法では一般的な方法です。私は何度か数日空けて窯入れをしたことがありますが、その際の炭の質はあまりいいものでは無かったと記憶します。やはり、先人の経験や知識は偉大だと言わざるを言えないですね。
和歌山だけの方言なのか?昔の言葉なのか?
京ことば、但馬方言、和歌山弁は「いこる」=(炭が赤くなった状態。炎はでず完全燃焼状態)、違って、大阪弁、高松方言の「いこる」は訳語「熾る(オコル)」=(火がついて燃えること。自動詞はいこす。火をいこす。火ぃいこった)この様に日本の各地で炭が赤く、炎が出ず燃焼する事を言います。大事なのは、炎が出ず燃焼するですね。紀州備長炭の良し悪しは重さ・表面の肌感(爆超しない・立ち消えしないは当たり前なので省きます。)=燃焼時間・燃焼温度に直結すると思います。自分たちは、お客様目線・お客様の感じた事を上手くくみ取り、燃料用など商品にいかせて頂いております。
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また、炭などの火付けの事を火起こしと言い起こすが語源でいこるになったのではないかと思います。
炭の中でも紀州備長炭は慣れていないと火起こしは大変ですがご家庭などでやるBBQなどは目安としては、大人2人子供2人:2kgで4時間から5時間ほどお使いできます。(グリル・七輪の大きさによります。)